何故いまインターナル・コミュニケーションが注目されているのか

社会情報大学院大学 教授 柴山慎一

 昨今、広報・PRの領域において、インターナル・コミュニケーションへの関心が高まっている。その背景には、会社における社員の役割が大きく変化していることが挙げられる。
                                    
 まず、ソーシャルメディアの台頭によって、社員には「社会との接点を担う」という新しい役割が期待されるようになってきている。社員は、一人の人間として、会社の「らしさ」を背負いながら、自らメディアタイズされて日常的に社会に対して発信をするようになっている。今や、社員全員が広報パーソンの時代である。 また、ソーシャルメディアを通じて、一般市民が社会を変える時代になっているのと同様に、社内のイントラネットを通じて、一般社員が「会社を変える」時代になってきている。従来、社員とは、社内における情報の受信者として位置付けられてきたが、今や情報の発信者の位置付けにもなり、会社を変える原動力になることが期待されている。

 会社とは、「社会から情報を受信し、その情報に社内で付加価値をつけ、それを社会に発信していくところ」と定義すると、社内のあらゆる活動がインターナル・コミュニケーションに通じることになる。そのような社内の環境の中で、会社における社員の役割は従来以上に大きくなってきており、社員を巻き込むインターナル・コミュニケーションの重要性が高まっている。

 このようにインターナル・コミュニケーションの領域からみた広報機能には、伝統的な広報部門の枠組みを超えたものが求められている。「社内広報=社内報+イントラネット」というような狭い役割設定では時代の変化に取り残されてしまう。インターナル・コミュニケーションを取り込む広報の機能には、より一層の進化が期待されている。それと同時に、会社の「らしさ」や「強み」は、社員の経験や価値観を通じて顧客や社会に広く伝播していくため、社員一人ひとりの役割にも大きな進化が求められている。