社会情報学とは

 社会情報大学院大学の「社会情報」とは何でしょうか。
 その意味とめざす教育研究の方向性について説明します。

 現代社会が「情報社会」と呼ばれるようになったのは、1970年代以降です。それは「情報が社会の資源となり、情報によって動く社会」という意味です。その後、90年代には、「社会情報(Socio-information & Communication)」という概念が議論されるようになりました。

 先駆者のひとり吉田民人(1931-2009)は、「人間の社会的システムを対象に記号や意味、情報や情報処理を基礎視角とする」という社会情報学のあり方を提起しました。これに呼応して様々な定義や問題意識が提起されました。

 たとえば西垣通(1948-)は、基礎情報学を提唱し、情報を「生命情報/機械情報/社会情報」の3つに分類しました。そこでは、人間社会で多様なメディアを介して流通する情報は、すべて社会情報であると提起しています。

 ようするに、社会情報学とは、「情報技術の進展が、人間関係や社会構造にもたらす変化を分析し”望ましい社会のあり方”を問いつづける」学問領域のことなのです。
 
 研究の方法論としては「現代社会における多様な主体による情報の生産・流通・受容・利活用の総過程を分析し変化の意味を明らかにする」ことが求められます。

 実は、情報社会が現代的位相の中核として最も早くから進展したのは、企業・産業の領域であると言われています。さまざまな情報システムが企業や組織に導入され産業の情報化が進み、資源としての社会情報の重要性が時代を追う毎に高まってきています。

 現代社会を構成する組織(企業であれ、行政機関であれ)は、毎日、情報を収集・分析をする一方で、情報を発信し、市場や市民との対話を繰り返しています。その行為は「広報」または「コーポレート・コミュニケーション(Corporate Communication)」と呼ばれています。こうしたコミュニケーションを通じて社会と、価値観と課題を認識することを目指します。

 広報とは情報提供や対話を通じて社会と「価値観」を共有してゆくことです。発信され、流通し、利用される企業や行政などのさまざまな組織の広報活動は社会情報の一領域を形成し、組織は社会情報を糧に成長をしてゆくのです。

 これからの社会は情報科学(IoT、AIなど)の進歩によって変化してゆきます。その展開と変容を見据えつつ、社会に役立つコミュニケーションの理論と実務を追究してゆくのが社会情報大学院大学の使命です。


参考文献:吉田民人『社会情報学とその展開』(勁草書房)
     東京大学社会情報研究所編『社会情報学Ⅰ、Ⅱ』(東京大学出版会)
     西垣通『生命と機械をつなぐ知』(高陵社書店)